人工股関節・膝関節の手術前に「歯の根の治療(根管治療)」が必要な理由とは?

      2026/10/20

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィスで、人工股関節・膝関節の手術前に「歯の根の治療(根管治療)」が必要な理由とは?

東京都江戸川区小岩で根管治療専門外来を開設しております、笠原デンタルオフィスです。

「股関節の痛みを治すために、いよいよ人工股関節の手術を受けることになった」
「それなのに、整形外科の先生から『手術の前に必ず歯医者に行って、お口のチェックと根の治療(根管治療)を終わらせてきてください』と言われた」

人工股関節・・膝関節の置換術という、人生における大きなお決断をされ、手術を目前に控えている患者さまにとって、この整形外科医からの指示は大きな戸惑いをもたらすものではないでしょうか。

「なぜ、足の関節の手術なのに、全く関係のない口の中の治療をしなければならないの?」
「手術の準備や体調管理で忙しいのに、なぜ今わざわざ歯医者に通わなければいけないのだろう……」

実は、人工股関節・膝関節の手術前に歯の根の治療(根管治療)や虫歯・歯周病の治療を完了させておくことは、人工関節を長持ちさせ、手術後の深刻な合併症からあなたの体を守るために、医学的に極めて重要かつ必須のステップなのです。

今回は、なぜ人工股関節・膝関節の手術前に根管治療が必要なのか、その知られざる医学的連鎖(メカニズム)、放置することの深刻なリスク、そして安心して手術に臨むための歯科でのアプローチについて解説します。

 

なぜ足の手術なのに「お口の治療」が必要なのか?

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィスで、人工股関節・膝関節の手術前に「歯の根の治療(根管治療)」が必要な理由とは?

人工股関節・膝関節置換術とは、変形性股関節症や大腿骨頭壊死症などによって傷んでしまった股関節や・膝関節のパーツを、金属やセラミック、ポリエチレンなどでできた「人工関節」に置き換える手術です。
これにより、歩行時の激しい痛みが軽減され、日常生活の動作が大きく改善されます。

一見すると、お口の中(歯科)と足の関節(整形外科)は、身体の場所としても機能としても完全に独立しているように思えます。
しかし、医学の世界では「お口はすべての血管の入り口であり、全身の健康を左右する一大拠点」として捉えられています。

整形外科の医師が手術前に歯科受診を義務付ける最大の理由は、「お口の中に潜む細菌が、血流に乗って人工関節に感染を起こすのを未然に防ぐため」に他なりません。

 

医学的メカニズム:歯の細菌が人工関節を襲う「血行性感染」

お口の中の細菌が、どのようにして足の人工関節へと到達し、悪影響を及ぼすのか。
その具体的な医学的メカニズムを解説します。

 

根の先に眠る細菌の爆弾「根尖病巣(こんせんびょうそう)」

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィスで、人工股関節・膝関節の手術前に「歯の根の治療(根管治療)」が必要な理由とは?

根管治療が必要な歯というのは、虫歯が神経にまで達して死んでしまっているか、過去の根の治療が再発し、根管の内部で細菌が爆発的に増殖している状態です。

細菌の勢力が根の先端にまで及ぶと、顎の骨の中に「根尖病巣」という膿の袋を作ります。
この膿の袋の中には、酸素を嫌う凶悪な嫌気性菌(連鎖球菌やブドウ球菌など)が無数に立てこもっています。
普段は体の免疫力によって抑え込まれていても、体調不良や手術のストレスで免疫が落ちると、いつでも暴れ出す「細菌の爆弾」のような存在です。

 

血管へ侵入するプロセス「菌血症(きんけつしょう)」

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィスで、人工股関節・膝関節の手術前に「歯の根の治療(根管治療)」が必要な理由とは?

歯の根の内部や根尖病巣の周囲には、無数の微細な毛細血管が走っています。
食事で強く噛んだり、ハミガキで刺激が加わったり、あるいは歯科治療で器具を入れたりする衝撃によって、根の先にいた細菌たちが毛細血管の壁を突き破り、ダイレクトに血液の中へと侵入します。

このように、血液の中に細菌が入り込んで全身をぐるぐると駆け巡る状態を、医学用語で「菌血症(Transient Bacteremia)」と呼びます。

 

人工関節は「細菌が最も好む場所」

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィスで、人工股関節・膝関節の手術前に「歯の根の治療(根管治療)」が必要な理由とは?

健康な自分の組織(生体組織)であれば、血液中に細菌が紛れ込んでも、白血球や免疫細胞がすぐに駆けつけて細菌を退治してくれます。

しかし、人工関節は金属やプラスチックといった「人工物(異物)」です。
人工物には、細菌を攻撃するための自己の血管が通っていません。
そのため、血流に乗って人工関節の表面にたどり着いた細菌は、身体の免疫システムから一切邪魔されることなく、そこに定着してしまうのです。

 

鉄壁のバリア「バイオフィルム」の形成

人工関節の表面にくっついた細菌は、自らを守るために「バイオフィルム」という強固な粘液性のバリア(お風呂の排水溝のヌメリのようなもの)を作り出します。

このバリアが完成してしまうと、体内の免疫細胞が近づけないだけでなく、口から飲んだ抗生物質(抗菌薬)の成分さえもバリアに弾かれてしまい、細菌に全く薬が届かなくなってしまいます。

 

根管治療を怠り、人工関節に感染が起きた場合の「深刻な代償」

もし手術前に根管治療を受けず、お口の細菌を放置したまま人工股関節の手術を行い、最悪のケースとして人工関節に感染(人工関節特異的感染症)が起きてしまった場合、どのようなことが起きるのでしょうか。
そのリスクは、想像以上に重いものです。

 

激しい痛みと高熱、そして「再手術」の現実

人工関節の周囲で細菌が増殖すると、股関節・膝関節の周りが赤く腫れ上がり、立っていられないほどの激しい痛みと高熱に襲われます。

前述の通り、バイオフィルムに守られた細菌には抗生物質が効かないため、これを解決するための唯一の方法は、多くの場合「せっかく入れた人工関節を一度すべて手術で摘出し、中を徹底的に洗浄し、新しい人工関節を入れ直す」という大掛かりな再手術(二期置換術)になってしまいます。

 

長期入院と、歩けない期間の発生

再手術を行う場合、一度人工関節を外したあと、感染が完全に収まるまでの数週間から数ヶ月間は、関節の中に抗生物質を混ぜたセメントの塊(スペーサー)を入れて過ごさなければなりません。
この期間は、当然ながら満足に歩くことができず、長期のベッド生活を余儀なくされます。

股関節・膝関節の痛みを無くして元気に歩くために手術を受けたはずが、お口の歯の1本の細菌のせいで、何ヶ月も歩けない苦痛の日々を過ごすことになってしまうのです。

 

【データで見る】人工関節感染の原因と、術前歯科治療の有効性

「本当に歯の細菌のせいで足の関節が悪くなるの?」という疑問に対し、国内外の整形外科学会および口腔外科学会が発表している学術的・統計的な臨床データをご紹介します。

データ①:人工関節感染の原因菌の特定
人工股関節や人工膝関節の手術後に感染を起こした部位から検出される細菌を分析した研究において、全体の 約10%〜15% 前後が「口腔内に常在する細菌(主に口腔内連鎖球菌:Streptococcus speciesなど)」であることが判明しています。
これは、お口のトラブルが人工関節感染の明確な原因(発症源)の一つであることを明確に示しています。

データ②:術前歯科受診による感染率の低下

日本臨床整形外科学会や日本口腔ケア学会などの報告によると、人工関節手術の前に歯科医師による専門的な口腔ケアや、根管治療をはじめとする潜在的感染源の除去(周術期口腔機能管理)を徹底して行った患者群は、歯科治療を行わずに手術に臨んだ患者群に比べて、術後の人工関節感染症の発生確率が有意に低下することがデータとして実証されています。

出典:日本整形外科学会(JOA)ガイドライン、日本咀嚼学会誌、およびJOS(日本骨関節感染症学会)の臨床統計データに基づく

これらのデータに基づき、現代の医療安全基準では、人工関節置換術を行う総合病院や大学病院のほぼ100%が、手術前の「歯科クリアランス(お口の中に感染源がないことの証明書)」の提出を必須としているのです。

 

笠原デンタルオフィスが行う「術前精密根管治療」

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィスで、人工股関節・膝関節の手術前に「歯の根の治療(根管治療)」が必要な理由とは?

人工股関節・膝関節の手術を控えている患者さまにとって、最も大切なのは「限られた手術までの期間内に、どれだけ確実かつ安全にお口の感染源を取り除けるか」というスピードと確実性です。
一般的な保険診療の根管治療では、何度も通院を重ねる必要があり、手術日に間に合わないリスクが生じますが、当院の精密根管治療外来では、最新の機器を駆使して確実性の高いアプローチを提供します。

 

歯科用CTによる「隠れた根尖病巣」の網羅的チェック

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィスで、人工股関節・膝関節の手術前に「歯の根の治療(根管治療)」が必要な理由とは?

肉眼や通常のレントゲンでは見落とされがちな、自覚症状のない小さな膿の袋(無症候性根尖病巣)を、3次元の歯科用CTで網羅的に洗い出します。
手術後に免疫が落ちたタイミングで牙を剥く可能性のある「未来の感染源」を、手術前にすべて正確に特定します。

 

マイクロスコープとラバーダムによる「短期無菌化」

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィスで、人工股関節・膝関節の手術前に「歯の根の治療(根管治療)」が必要な理由とは?

当院では、治療する歯をゴムのシートで隔離する「ラバーダム防湿」を徹底し、治療中に唾液(細菌)が根の中に新しく侵入するのを防ぎます。
その上で、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いて根の奥深くの細菌を精密に除去します。
1回あたりの治療時間を十分に確保し、科学的根拠に基づいた効率的な洗浄を行うため、通院回数を最小限(当院実績では平均2.3回)に抑え、整形外科の手術スケジュールを遅らせることなく、安全にお口の無菌化を完了させることができます。

 

10年、20年先も自分の足で安心して歩き続けるために

股関節・膝関節の痛みを解消し、大切なご家族との旅行を楽しんだり、日々の家事や仕事を生き生きとこなしたりするために、人工股関節・膝関節の手術を決められた皆様のその一歩は、未来への大変素晴らしい前進です。
だからこそ、その手術の成功を脅かすような不測のトラブルは、何としても未然に防がなければなりません。

「なぜ歯の治療を?」という最初の戸惑いは、あなたの身体が人工関節という新しいパートナーと生涯にわたって良好な関係を築くための、とても大切な気付きのステップだったのです。

家事や仕事、そして手術の準備で本当にお忙しい日々をお過ごしのこととお察しいたします。
通院の手間が増えるのは大変なことですが、あなたの歯を、そして新しく生まれ変わる股関節・膝関節を守るために、私たちが全力でサポートいたします。

東京都江戸川区小岩の笠原デンタルオフィスでは、日本顕微鏡歯科学会認定指導医の確かな技術のもと、整形外科の主治医の先生とも密接に連携を取りながら、手術日に絶対に遅れない、かつ確実性の高い精密根管治療を提供しています。
どうぞ安心してお気軽にご相談ください。
万全のお口の健康を整えて、素晴らしい手術の成功と、その先の快適な歩みを一緒に迎えましょう。

 

よくある質問 Q&A

Q. 歯の根に膿が溜まっていますが、今は全く痛くありません。それでも手術前に治療が必要ですか?
A. はい、絶対に必要です。現在痛みのない「慢性期」の状態であっても、人工股関節・膝関節の手術という身体にとって大きな侵襲(ストレス)が加わると、術後に免疫力が低下し、そのタイミングで根の先の細菌が一気に暴れ出す(急性化する)リスクが非常に高いためです。
Q. 人工股関節・膝関節の手術まであと2週間しかありません。治療は間に合いますか?
A. 非常にタイトなスケジュールですが、当院の自費の精密根管治療であれば、1回あたりの時間を長く確保して集中的に清掃を進めるため、数回の通院で根の中を安全な状態に整えることが可能です。まずは現在の状況を整形外科の予定と合わせてお早めにご相談ください。
Q. 手術の「あと」に歯の治療をするのでは遅いのですか?
A. 遅いです。人工関節を入れてから間もない時期(術後数ヶ月以内)は、関節の周囲の組織がまだ完全に安定しておらず、最も血行性感染を起こしやすい「超危険時期」です。この時期にお口の中に細菌の巣を残しておくこと自体が大きなリスクとなるため、手術「前」の完了が原則です。
Q. 根管治療だけでなく、歯周病の治療も手術前に必要ですか?
A. はい、歯周病治療も非常に重要です。歯周病によって出血している歯茎は、まさに血管のゲートが開いている状態であり、菌血症(血液に細菌が入る現象)の最大の原因になります。歯石除去やクリーニングでお口の中の細菌数を減らすことも必須のステップです。
Q. 人工股関節・膝関節の手術が無事に終わったあとは、もう歯医者での感染対策は気にしなくて良いですか?
A. いいえ、手術後も生涯にわたって定期的な歯科メインテナンスが必要です。術後数年が経過していても、ひどい虫歯や歯周病を放置すると、そこから再び血流に乗って人工関節に感染を起こすリスク(遅発性感染)があります。
Q. 手術後に別の歯の根管治療が必要になった場合、何か注意することはありますか?
A. 人工関節置換術のあとに歯科治療(特に根管治療や抜歯などの出血を伴う処置)を行う場合は、処置の直前に細菌の血流侵入を防ぐための「予防的抗生物質」を服用していただくことがガイドラインで推奨されています。必ず事前に人工関節が入っている旨を歯科医師にお伝えください。
Q. 術前の根管治療は、保険診療と自費診療で何が違いますか?
A. 保険診療は1回の治療時間が短く、何度も通院を重ねる必要があるため、手術日に間に合わなくなるリスクがあります。また、再発率の低さ(無菌化の精度)において、マイクロスコープやラバーダムをフル活用する自費の精密治療の方が、将来的な人工関節への二次感染リスクをより低く抑えることができます。
Q. 虫歯があまりにもひどく「抜歯」と言われました。足の手術前に抜いても大丈夫ですか?
A. 保存が不可能な歯は抜歯が最善の感染源除去になります。ただし、抜歯をすると傷口が塞がるまでに一定の期間(通常2週間〜1ヶ月程度)が必要となります。その傷口が未治癒のまま人工関節の手術を行うのは避けたいため、抜歯が必要な場合はさらに前倒しでのスケジュール管理が必要になります。
Q. 整形外科の先生から「歯科の紹介状」をもらっていませんが、受診してもいいですか?
A. はい、ご紹介状がなくても全く問題ありません。受付にて「○月○日に人工股関節・膝関節の手術を控えているため、術前の歯科検診と必要な治療をしたい」とお伝えいただければ、手術日に合わせたプランを即座に立案いたします。
Q. 術前の歯科治療にかかる費用は、医療費控除の対象になりますか?
A. はい、すべて対象になります。人工関節の手術費用はもちろん、その手術を安全に成功させるために不可欠な医療行為として行われる自費の精密根管治療や歯科治療費は、正当な「医療費控除」の対象として確定申告に含めることができます。

 


監修医・医院情報

監修医:笠原明人(日本顕微鏡歯科学会指導医/笠原デンタルオフィス 副院長)

資格及び所属団体

PERF-J(中川寛一主宰)インストラクター
日本顕微鏡歯科学会認定医第66号 指導医第34号(江戸川区取得第一号)、代議員、理事
日本歯内療法学会会員
日本口腔顔面痛学会会員
日本口腔インプラント学会会員
歯科医師臨床研修指導医
日本歯科医師会会員・東京都歯科医師会会員・江戸川区歯科医師会会員
日本歯科保存学会会員
歯学博士


笠原デンタルオフィス・精密根管治療専門サイト:https://endodontics-tokyo.com/

〒133-0056 東京都江戸川区南小岩7-30-12 東名観光ビル 2F
電話:03-6458-0640

電車でお越しの方:
JR総武線小岩駅 徒歩3分

お車・自転車でお越しの方:
近隣の有料駐車場をご利用ください。(駐輪場あり)

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