神経を抜いた歯がしみるのはなぜ?冷たいもの・熱いもので痛む原因と抜歯を防ぐ治療法を解説
2026/08/10
東京都江戸川区小岩で根管治療専門外来を開設しております、笠原デンタルオフィスです。
「神経を抜いたはずの歯が、冷たい水でズキッとしみる」
「温かいスープを飲んだときに、じわーっと鈍い痛みが走る」
神経を取る治療(根管治療)を終えた歯は、本来なら冷たさや熱さを感じなくなるはずです。
それにもかかわらず「しみる」という症状が起きると、多くの患者さまは「治療が失敗したのではないか」「また悪化したのだろうか」と強い不安や疑問を抱かれます。
実は、神経を抜いた歯がしみる現象には、医学的な明確な理由があります。
そして、「冷たいものがしみる場合」と「熱いものがしみる場合」では、お口の中で起きているトラブルの原因が全く異なるのです。
今回は、神経がないはずの歯がしみる原因を「冷たい・熱い」の症状別に網羅し、そのメカニズムや適切な治療法について詳しく解説します。
なぜ神経がないのに「しみる」と感じるのか?
まずはじめに、患者さまが最も疑問に思われる「神経がないのになぜ感じるのか」という体の仕組み(メカニズム)から紐解いていきましょう。
歯の神経(歯髄)と周囲の神経(歯根膜)の違い
歯の内部にある「歯髄(しずい)」という神経を取り除くと、その歯自体が冷たさや熱さを直接感じる能力は失われます。
しかし、歯のすぐ外側には、歯と顎の骨を結びつけている「歯根膜(しこんまく)」という薄いクッションのような膜組織があります。
この歯根膜には、非常に鋭敏な神経と血管が通っています。
歯の内部や周囲でトラブルが起き、この歯根膜に炎症が波及すると、脳は「歯がしみる」「歯が痛む」という感覚として捉えるのです。
脳の「関連痛(かんれんつう)」による錯覚
人間の口腔内の神経は非常に複雑に絡み合っています。
実際には、隣の歯や噛み合う反対側の歯が虫歯でしみておるにもかかわらず、脳が痛みの場所を正確に特定できず、過去に神経を抜いた歯がしみておると「誤認」してしまうことがあります。
これを関連痛(または投影痛)と呼びます。
【ケース①】「冷たいもの」がしみる場合の4つの原因
ここからは、具体的な症状別に原因を掘り下げていきます。
まずは、冷たい水やアイスなどがキーンとしみるケースです。
【最頻出】実は「隣の歯」や「親知らず」が虫歯になっている
神経を抜いた歯のすぐ隣にある歯や、奥に隠れている親知らずが深い虫歯になっているケースが非常に多く見られます。
隣の歯の虫歯が、神経を抜いた歯との隙間(歯間部)で進行している場合、冷たいものがそこに入り込むとしみます。
患者さま自身は「過去に治療したあの大きな歯がしみる」と思い込んでしまいがちですが、レントゲンを撮ると真犯人は隣の健康だったはずの歯であるパターンです。
残存歯髄(ざんぞんしずい)─神経の取り残し
過去の根管治療の際、複雑に枝分かれした根の先にある神経の一部が、どうしても除去しきれずに微量に残ってしまっている状態です。
保険診療で行われる肉眼での手探りの治療では、非常に細い根管や予備の神経の管(側枝など)を見落とすことがあります。
この残った神経の断片が生きており、金属の詰め物などを通じて冷たい刺激が伝わることで、キーンとしみる症状を引き起こします。
【ケース②】「熱いもの」がしみる場合の4つの原因
続いて、温かいお茶やスープ、炊き立てのご飯などを口にしたときに「じわーっとしみる、疼く」というケースです。
歯科医学において、熱いものがしみる症状は、冷たいものがしみる症状よりも病態が進行している(重症化している)サインと捉えられます。
根の先に膿が溜まっている(根尖性歯周炎)
神経を抜いた根管内に細菌が再侵入し、根の先端の骨の中に膿の袋(根尖病巣)ができている状態です。
温かいものが歯に触れると、根管内に溜まった細菌が作り出したガスや膿が、熱によって「熱膨張(膨張)」を起こします。
密閉された歯の中で体積が増したガスが、根の先の組織(歯根膜)を内側から強く圧迫するため、じわじわとした重苦しい痛みが走ります。
歯根破折(しこんはせつ:根のヒビ・割れ)
神経を抜いて脆くなった歯の根っこに、過度な噛み合わせの負担によってヒビが入ってしまう状態です。
ヒビの隙間には無数の細菌が繁殖します。
温かいものを飲むことで、そのヒビの内部や周囲の歯根膜組織が充血し、内圧が高まることで「しみるような、疼くような痛み」を感じます。
歯髄の「微小な生き残り」が慢性的に化膿している
冷たいものの原因でも触れた「残存歯髄」が、時間の経過とともに細菌感染を起こし、内部で腐敗(壊死)しかけている状態です。
神経が死んでいく過程(壊死の途中)では、温熱刺激に対して非常に敏感になります。
熱が加わることで血管が拡張し、狭い根管内で神経の断片が圧迫されて強いしみを引き起こします。
ガルバニー電流による刺激
お口の中に異なる種類の金属(金歯、銀歯、パラジウムなど)が入っている場合、温かい唾液や食事が電解液の役割を果たし、金属間に微弱な電流(ガルバニー電流)が流れることがあります。
この電流が歯根膜の神経をピリピリと刺激し、患者さまにとっては「熱いものがしみる・不快に感じる」という症状として自覚されることがあります。
放置は禁物!蓄積される深刻なリスク
「ときどきしみるだけだから」と放置を続けると、水面下でトラブルが大きくなり、最終的に「抜歯」せざるを得ない状況に追い込まれます。
顎の骨が溶ける(根尖病巣の拡大)
熱いものでしみる原因である「根の先の細菌」を放置すると、細菌は周囲の顎の骨(歯槽骨)をじわじわと溶かし続けますある日突然、強烈な激痛や顔の腫れを引き起こす「急性化」のリスクが常に付きまといます。
虫歯が気づかないうちに進行し、歯が崩壊する
神経がない歯は、基本的には虫歯が進んでも痛みがありません。
しみるという微かなサインを無視していると、被せ物の下で虫歯が限界まで進行し、次に見通したときには「歯の頭がまるごとボロボロに崩れており、根っこしか残っていない」という状態になりかねません。
当院が実践する、原因を追究する精密な治療アプローチ
笠原デンタルオフィスでは、「神経を抜いたからしみるはずがない」と決めつけることは決してありません。
患者さまが感じている違和感の理由を、科学的根拠に基づいて突き止めます。
歯科用CTによる「3次元立体診断」
通常の2次元レントゲンでは、重なって見えない根の裏側のヒビや、初期の骨の溶け具合を確認することができません。
CTを用いることで、原因が根の先にあるのか、あるいは隣の歯にあるのかをミリ単位で判別します。
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)による「超拡大観察」
肉眼の最大20倍の視野を確保し、過去の治療で見落とされた「隠れた根管(第4根管など)」や、神経の取り残し(残存歯髄)を直接目視で見つけ出します。
ラバーダム防湿とMTAセメントによる精密根管治療
治療中に唾液(細菌)が入り込まないようゴム製のマスク(ラバーダム)を徹底し、除菌を行います。
根の先を密閉する際には、殺菌性と封鎖性に優れたMTAセメント(バイオセラミック)などの生体親和性の高い材料を使用し、再発のリスクを抑えます。
当院の精密治療では、平均1〜3回(実績平均2.3回)という少ない通院回数での完了を目指しています。
違和感は歯を守るための「大切なサイン」
「神経を抜いたから大丈夫」という思い込みがあると、しみるという微かな違和感があっても、つい気のせいだと見過ごしてしまいがちです。
しかし、お身体が発するサインには必ず理由があります。
冷たいものがしみる段階、あるいは熱いものがしみ始めた初期の段階で正しい原因を突き止め、適切な処置を行えば、その歯を抜かずに一生モノの財産として残せる可能性は格段に高まります。
東京都江戸川区小岩の笠原デンタルオフィスでは、日本顕微鏡歯科学会認定指導医の知識と、最新の精密機器を駆使して、患者さま一人ひとりの「なぜしみるのか」に向き合います。
少しでもお口の中に不安や違和感を覚えたら、どうぞ遠慮なく私たちにご相談ください。
よくある質問 Q&A
監修医・医院情報
監修医:笠原明人(日本顕微鏡歯科学会指導医/笠原デンタルオフィス 副院長)
資格及び所属団体
PERF-J(中川寛一主宰)インストラクター
日本顕微鏡歯科学会認定医第66号 指導医第34号(江戸川区取得第一号)、代議員、理事
日本歯内療法学会会員
日本口腔顔面痛学会会員
日本口腔インプラント学会会員
歯科医師臨床研修指導医
日本歯科医師会会員・東京都歯科医師会会員・江戸川区歯科医師会会員
日本歯科保存学会会員
歯学博士
笠原デンタルオフィス・精密根管治療専門サイト:https://endodontics-tokyo.com/
〒133-0056 東京都江戸川区南小岩7-30-12 東名観光ビル 2F
電話:03-6458-0640
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