「マイクロスコープがある=精密治療」は間違い?拡大鏡との違いと、使い分けのコツ

      2026/02/20

道具を揃えることよりも大切な、専門医としての「視点」と「技術」

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィスで、「マイクロスコープがある=精密治療」は間違い?拡大鏡との違いを専門医が解説

東京都江戸川区小岩で根管治療専門外来を開設しております、笠原デンタルオフィスです。
近年、歯科医療の現場では「精密治療」という言葉が一般化し、ホームページ等で「マイクロスコープ完備」という文字を目にすることも増えてきました。
患者様にとっても、高精度の機械があることは、医院選びの大きな安心材料になっているかと思います。

しかし、ここで一つ、非常に重要な事実をお伝えしなければなりません。
それは、「マイクロスコープという道具が揃っていること」と、「精密な治療ができること」は、決してイコールではないということです。

精密治療において大切なのは、拡大鏡(ルーペ)やマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)といった道具の性能そのものではなく、「それぞれの道具の特性(メリット・デメリット)を正しく理解し、症例に合わせて自在に使いこなせているか」という点にあります。

この記事では、日本顕微鏡歯科学会認定指導医である私が、プロの視点から以下の内容を解説します。

拡大鏡とマイクロスコープの違い:それぞれのメリット・デメリット

機動力か、圧倒的視野か:治療内容による使い分けの実際

なぜ使いこなすのが難しいのか? 道具に振り回されないための修練

「設備」の先にあるもの:本当に精密な治療を受けるための医院選び

 

拡大鏡(ルーペ)のメリットとデメリット

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィスで、「マイクロスコープがある=精密治療」は間違い?拡大鏡との違いを専門医が解説

拡大鏡は、メガネのように装着して使用するタイプ(ルーペ)です。
肉眼の2倍〜10倍程度の拡大率を持ち、現代の精密歯科診療においては「最低限の必須装備」と言えるでしょう。


拡大鏡のメリット

拡大鏡の最大の利点は、その「機動力(自由度の高さ)と全体像の把握」にあります。

術者の動きに連動する
メガネタイプのため、歯科医師が頭を動かせば、見たい角度を瞬時に変えることができます。

全体像を把握しやすい
マイクロスコープに比べると倍率が低い分、診察できる範囲(視野)が広く、複数の歯の並びや、顔全体のバランスを確認しながら治療を行うのに適しています。

隣接する歯との関係性の確認
例えば、隣の歯との角度、噛み合わせの全体的な調和などを診る際、機動力のある拡大鏡は非常に有効です。


拡大鏡のデメリット

倍率の限界
一般的に使用されるのは3〜5倍程度で、根管内の微細なひびや、細菌の汚れまでを完全に捉えるには限界があります。

身体への負担
頭を動かして焦点を合わせるため、術者の姿勢が不安定になりやすく、長時間の精密作業では集中力を維持するのに工夫が必要です。

 

マイクロスコープのメリットとデメリット

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィスで、「マイクロスコープがある=精密治療」は間違い?拡大鏡との違いを専門医が解説

マイクロスコープは診療台に固定された巨大な顕微鏡です。
肉眼の3倍〜約20倍という圧倒的な拡大能力を持ちます。


マイクロスコープのメリット

圧倒的な解像度
肉眼では絶対に見えない「根管内の微細な亀裂」や「折れた器具の破片」をはっきりと映し出します。

明るい同軸照明
レンズの中心から強力な光が照射されるため、暗く深い歯の根の奥底(根管)まで影を作らずに照らし出すことができます。

動画・写真による共有
治療の過程を記録し、患者様に「何が原因で、どう治したか」を映像で見せることができるため、納得感の高い治療が可能になります。


マイクロスコープのデメリット

マイクロスコープは非常に優れた道具ですが、万能ではありません。

直視できる範囲が極めて狭い
倍率を上げるほど、一度に見える範囲は数ミリ単位と非常に狭くなります。
そのため、隣の歯との関係や、お口全体のバランスを見失いやすい(木を見て森を見ず)という特性があります。

機動力の欠如
診療台に固定されているため、機械の可動範囲が物理的に制限されます。
見たい角度にミラーを合わせ、マイクロスコープ本体を微調整するには、高度な習熟が必要です。

セッティングに時間がかかる
位置を固定して焦点を合わせるまでにある程度の時間を要するため、スピーディーな処置を求められる場面には不向きです。

 

専門医はこう使い分ける:得意とする治療例

精密治療の現場において、拡大鏡とマイクロスコープは「どちらか一方が優れている」という関係ではなく、異なる目的で使用されます。
専門医がどのようにこれらをスイッチし、治療の精度を高めているのか、具体的な治療例を挙げて解説します。

 

根管治療(歯の根の治療):マイクロスコープの独壇場

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根管治療は、暗くて細い「トンネル」の中を掃除するような作業です。
ここでは、マイクロスコープの「同軸照明(レンズと光が同じ軸で動く機能)」と「高倍率」が絶対的な威力を発揮します。
根管治療は「迷路」の中を進むようなもの。マイクロスコープがない状態での治療は、いわば「目隠しをして掃除をする」ようなリスクを伴います。

得意な処置

根管の入り口(根管口)の探索
加齢などで石灰化し、肉眼では絶対に見えない「隠れた根管」を20倍の世界で見つけ出します。

破折片(折れた器具)の除去
根の中に残された古い治療器具を、周囲の歯を削りすぎることなく慎重に摘出します。

パーフォレーション(穴)の修復
過去の治療で誤って開けられた根の穴を、MTAセメントを用いてコンマ数ミリ単位の精度で封鎖します。

 

被せ物・詰め物の適合確認:ハイブリッドな使い分け

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被せ物(クラウン)や詰め物(インレー)の治療では、拡大鏡とマイクロスコープの両方が活躍します。
「森(全体)」を拡大鏡で診て、「木(細部)」をマイクロスコープで診る。この切り替えが、適合性が高く、二次カリエス(虫歯の再発)を防ぐ長持ちする被せ物を作ります。


拡大鏡の役割(全体の調和)
歯を削る際、隣の歯との距離感や、お口全体の噛み合わせのバランスを診るには、機動力のある拡大鏡が最適です。
術者の首の動きに合わせて多角的にチェックし、スムーズで美しい形(支台歯形成)を作ります。

マイクロスコープの役割(縁の精密チェック)
仕上げの段階ではマイクロスコープに切り替えます。
歯と被せ物の境目(マージン)に、細菌が入り込むわずかな段差や隙間がないか、20倍で確認します。

 

外科的根管治療(歯根端切除術):マイクロスコープによる低侵襲化

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィスで、「マイクロスコープがある=精密治療」は間違い?拡大鏡との違いを専門医が解説

通常の治療では治らない場合、歯茎を切開して根の先を直接処置する「外科治療」を行います。
マイクロスコープ下で行う外科処置は、切開の範囲を最小限(低侵襲)に抑えられるため、術後の腫れや痛みが極めて少なく、治癒も早まります。
肉眼では大きな傷跡が残る処置も、マイクロスコープなら「精密な手術」に変わります。

得意な処置

根尖の切断と逆充填
根の先を3mmほど切断し、その切り口に微細なひびがないか確認した上で、専用のチップを使って逆側から詰め物(逆充填)をします。

 

隣接面(歯と歯の間)の虫歯治療:拡大鏡の機動力

歯と歯の間の虫歯は、角度が非常に難しく、器具を当てる方向が常に変化します。
常にマイクロスコープを覗いていると、周囲の状況が分かりにくくなる「トンネルビジョン」に陥ることがあります。
角度が頻繁に変わる処置には、視野が広く自由度の高い拡大鏡が最大の武器になります。

得意な処置

健康な歯質を削りすぎない切削
拡大鏡は術者の視線に連動するため、複雑な角度でもピントが外れません。
隣の健康な歯に傷をつけず、虫歯だけを最小限に除去する機敏な動きを支えます。

 

道具を「適材適所」で使い分けることが、最良の成果を生む

当院では、これら2つの道具を一回の診察の中で何度も持ち替えます。
マイクロスコープがあるからといって、最初から最後までそれだけに頼るのは、むしろ不自然です。

それぞれの道具が持つメリットを組み合わせ、デメリットを補完する。
道具への依存ではなく、道具を完全にコントロールし、治療のすべての工程において「根拠のある正確さ」を追求することが重要と考えております。

 

マイクロスコープは「使いこなす」のが最も難しい

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィス

マイクロスコープは、非常に優れた道具ですが、導入したその日から誰でも精密な治療ができるようになる「魔法の杖」ではありません。

「見えること」と「手が動くこと」のギャップ
初めてマイクロスコープを覗いた歯科医師は、その拡大された世界に驚くと同時に、「自分の手が思い通りに動かない」という壁にぶつかります。
20倍の世界では、0.1mmの手ブレが巨大な揺れとして映し出されます。
この拡大視野下で、手足を正確にコントロールするには、数年単位の徹底したトレーニングが必要です。

ブラインド(手探り)からの脱却
これまでの歯科治療は、指先の感覚(手探り)に頼る部分が大きくありました。
マイクロスコープはそれを「視覚」に変換しますが、視覚情報が多すぎるために、逆に判断を誤るリスクも孕んでいます。
「見えているものが何であるか」を正しく診断する知識がなければ、高性能なレンズも宝の持ち腐れとなってしまいます。

マイクロスコープがある=精密治療、ではない
厳しいようですが、マイクロスコープを導入していても、実際には特定の治療の数分間しか覗いていなかったり、単なるパフォーマンスとして置いてあるだけのケースも存在します。
本当に精密な治療は、マイクロスコープを使いこなす技術(姿勢、ミラーテクニック、手指の安定性)が身体に染み込んでいる歯科医師の手によって、初めて成し遂げられるのです。

 

日本顕微鏡歯科学会「認定指導医」としてのこだわり

東京の根管治療専門外来、笠原デンタルオフィスで、「マイクロスコープがある=精密治療」は間違い?拡大鏡との違いを専門医が解説

笠原デンタルオフィスでは、マイクロスコープという道具を「目的」ではなく、「患者様の歯を救うための手段」として徹底的に使い倒しています。

専門性の高い根管治療
特に根管治療においては、マイクロスコープなしの治療は考えられません。
しかし、ただ覗くだけではありません。
当院ではマイクロスコープで捉えた情報を、即座に治療計画に反映し、MTAセメントを用いた精密封鎖や亀裂の修復など、「見えたからこそできる高度な処置」へ繋げます。

拡大鏡とのハイブリッド診療
前述の通り、マイクロスコープの弱点は視野の狭さです。
当院では、全体のバランスを診るべき工程では拡大鏡を、深部の精密作業ではマイクロスコープをというように、一つの治療の中で何度も切り替えて使用します。
道具のデメリットを補い、メリットを最大化するための判断こそが、専門医の技術です。

 

道具のその先にある「精度」を求めて

「マイクロスコープがあるから安心」と考えるのは、最初の一歩としては正解です。
しかし、その先にある「どれだけ使いこなせているのか?」という点にまで目を向けてみてください。

東京都江戸川区小岩にある笠原デンタルオフィスは、日本顕微鏡歯科学会認定指導医として、マイクロスコープを体の一部のように使いこなし、他院では「見えなかった」原因を突き止め、歯を救うことに情熱を注いでいます。
道具を揃えることは誰にでもできます。しかし、道具を使いこなし、結果を出すことは一朝一夕にはできません。
私たちは、これからも道具と技術の両輪で、あなたの人生を支える大切な歯を守り続けてまいります。

 



笠原デンタルオフィス・精密根管治療専門サイト:https://endodontics-tokyo.com/

〒133-0056 東京都江戸川区南小岩7-30-12 東名観光ビル 2F
電話:03-6458-0640

電車でお越しの方:
JR総武線小岩駅 徒歩3分

お車・自転車でお越しの方:
近隣の有料駐車場をご利用ください。(駐輪場あり)

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